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「Super○○’s」表記との上手な付き合い方

  • web7455
  • 7月29日
  • 読了時間: 4分





スーツの生地選びと「Super表記」について

スーツの生地を選ぶとき、皆さんは何を基準にされていますか?

店員のおすすめ、生地ブランドの知名度、あるいは手に取ったときの感触や色柄など、ご自身の直感で選ぶ方も多いかと思います。

生地選びにはいくつかの指標がありますが、今回はその中でも特によく見かける表記、「Super○○’s(スーパー表記)」についてご紹介します。




Super○○’sとは?


「Super100’s」「Super150’s」など、一度は見かけたことがあるこの表示。


これは、生地に使用されているウールの原毛の細さを示す等級で、数字が大きくなるほど原毛が細く、なめらかで光沢のある上質な風合いになります。


この表記は、国際羊毛繊維機構(IWTO)とウールマークカンパニーによって定められた、ウール生地の品質を世界共通で示す国際規格です。

現在では、「Super S 表記=ウール生地の品質を示す指標」として広く認知されています。




Super○○’sと原毛の細さ(参考表)

Super 表示

平均繊維直径(μm)

Super 100s

18.75

Super 120s

17.75

Super 150s

16.25

Super 180s

14.75

Super 200s

13.75

Super 250s

11.25

(※参考までに、人の髪の毛はおおよそ50μm。Super160sあたりから、カシミヤと同程度の細さになります)




Super表記による風合いと特徴


原毛が細くなるにつれて、スーツ生地はより繊細で軽やかな質感になります。一方で、摩耗や耐久性といった実用性とのバランスも考慮する必要があります。


  • Super100s:ほどよく張りがあり、ビジネスシーンに最適

  • Super150s:繊細かつ上品、ドレッシーな印象

  • Super200s以上:極めて繊細でなめらか。シルクのような肌触り(※非常にデリケートなため日常使いには不向き)




Super表記は注意が必要?


ここで少し注意したいのは、Super表記がすべてを保証するものではないという点です。


近年では「Super200s」や「Super250s」など、超極細繊維の表示も多く見かけるようになりました。しかし、高いSuper数値を表記していても、実際にはその基準を満たしていないケースも存在します。


たとえば:

  • 原毛の一部にSuper250s相当の繊維がごく少量だけ含まれている

  • それにもかかわらず全体を「Super250s」と表示してしまっている

  • 高級感を出すために便宜的に高いSuper表示をつけてしまう


これは、IWTOの規定ではNGとされており、本来はすべての原毛の平均繊維径が該当しなければ、その等級を表記できないことになっています。

※Super表記を使わずに “S”番号(例:120s)のみを使用することが可能なケースもあります。



つまり、表示だけを鵜呑みにするのではなく、実際の風合いや光沢や生地ブランドの信頼性、

テーラーの目利きといった、他の要素も踏まえて判断することが大切です。




Super表記と実用性のバランス


原毛が細ければ細いほど、着心地はしなやかで肌触りも上品になりますが、その分「繊細」になります。擦れやすく、シワになりやすいため、長時間の着用やハードな使用にはやや不向きです。

たとえば、毎日のビジネス使いには、耐久性と上品さを兼ね備えたSuper100s〜120sあたりがちょうどよく、バランスの取れた選択肢と言えるでしょう。

一方で、少しドレッシーな場面や「ここぞ」という勝負スーツには、Super150s前後のなめらかな生地が映えます。

さらに、特別な日の一着や、贅沢な着心地を楽しみたい場合には、Super180s以上の極細ウールもおすすめです。ただし、着用頻度や扱いには注意が必要です。




生地選びは「総合点」


生地の品質は「Super表記」だけで決まるわけではありません。たとえば、糸そのものの細さ(糸番手)、織りの密度(打ち込み本数)、生地の重量、織り組織や仕上げの加工方法など、複数の要素が組み合わさって、最終的な質感や着心地がつくられています。

また、生地の生産国やブランドによっても特徴は大きく異なります。



英国生地 × イタリア仕立ての楽しみ


DrapperHopeでは、柔らかさと光沢が魅力のイタリア生地はもちろん、ハリとコシがあり、耐久性にも優れた英国生地も豊富に取りそろえています。

「仕事でガシガシ着たい」「クラシックな重厚感が欲しい」「柔らかさと堅牢さ、どちらも叶えたい」そんなご希望がある方には、英国生地をイタリアの軽やかな仕立で作成するのもおすすめです。



まとめ


「Super S 表記」は、ウールの原毛の細さ=生地の繊細さ・風合いを示す、ひとつの“目安”です。

しかし実際の着心地や満足感は、表記だけでは語れないというのが正直なところです。


生地の質感、仕立ての相性、ご自身のライフスタイルとのバランスを見ながら、納得のいく一着を選ぶことが何より大切です。

ぜひ店頭で、実際に触れて、比べて、感じてみてください。






脇山 晃樹 1998年、東京都出身。バンタンデザイン研究所ファッション学部を卒業後、大手紳士服メーカーのオーダー部門で7年間勤務。現在はDrapper Hopeでフィッターとして活動。
脇山 晃樹 1998年、東京都出身。バンタンデザイン研究所ファッション学部を卒業後、大手紳士服メーカーのオーダー部門で7年間勤務。現在はDrapper Hopeでフィッターとして活動。

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