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紳士服の定番色に隠された「In Town, Never Brown」のタブーと近代の解釈
【紳士服の定番色を徹底解説】 なぜ「街で茶色を着るな」と言われたのか?ネイビー、グレー、ブラックが持つ階級と技術の深層 スーツの色の選択は、単なるファッションではなく、数世紀にわたる歴史と技術の集大成です。私たちは紳士服の色彩が持つ壮大な歴史を知る必要があります。ネイビー、グレー、ブラック、ブラウン。この四色に支配された紳士服の歴史は、技術的制約、光の物理的な法則、そして社会的な階級意識が導いた必然の物語であり、特にブラウンにまつわる「In Town, Never Brown」という歴史的なタブーの背景を深く紐解きながら、各色が基軸となった背景を深掘りします。 最高の権威を象徴するブラック:技術的困難と儀礼的な地位 ブラック は、ネイビーやグレーが「公的」な役割を担うのに対し、「権威」や「厳粛さ」といった絶対的な精神性を象徴してきました。その地位の高さは、初期の染色技術の困難さに深く根ざしています。 完璧な「真の黒」の技術的困難さと階級意識 天然染料の時代において、堅牢(色落ちしにくく、光に強い)な「真の黒」を染め出すことは、青や赤よりも遥かに難
2025年12月9日


袖のボタンの数に正解はあるのか?
現在ではほとんどの場合、装飾として付けられることの多いジャケットの袖ボタンですが、その歴史や背景を知ると、装うことがより楽しくなると思います。 ということで、今回は袖ボタンについて深掘りしていきます。 袖ボタンの始まり そもそも、ジャケットの袖口に付いているボタンは何のためにあるのでしょうか。有名な説がいくつかあります。 ひとつは「ナポレオン説」。1812年のロシア遠征で、兵士が寒さで鼻水を袖で拭っていたことにナポレオンが激怒し、袖口に金属ボタンを付けさせた、という話です。ただし、ナポレオン以前にも軍服に袖ボタンの例があり、この説はエピソード的な面が強いとされています。(俗説扱いされることが多い) もうひとつは「医療・処置説」。戦場で負傷した兵士を手当てする際、腕をまくりやすいように袖口を開閉できるボタンが付けられたという説です。野戦病院の衛生環境や処置のしやすさを考えると、これは合理的な仮説でもあります。 要するに、袖ボタンは本来、機能(function)として生まれ、現代ではファッション(fashion)として形を残している痕跡と考えるのが妥
2025年10月21日


「スーツとは何を語る服なのか」〜ファッション論から読み解く装いの意味〜【最終章】
文:脇山晃樹 装うという自由 全4回にわたって「ファッション論」という学術的な観点からスーツを考察してきましたが、今回が最終章になります。これまでの内容を振り返りつつ「スーツとは何を語る服なのか」を読み解いていきます。最後までお付き合いいただけますと幸いです。 スーツは「自由のかたち」を語る スーツは本来、極めて制度的な洋服です。その成り立ちは軍服や制服に由来し、造形の中には規律や秩序といった社会的意味「記号性」と「規範」が織り込まれています。つまりスーツは、「社会における正しさ」や「信頼される外見」を体現するための衣服です。 しかしその一方で、スーツは着る人の個性や価値観を映し出す衣服にもなり得ます。同じ形をしていても、着る人や身体へのフィット感、素材や色の選び方、細部のスタイリングによって、そこに浮かび上がるのは他ならぬ「その人の姿勢や美意識」です。 このようにスーツは、「制度」と「個性」という両極を内包する衣服です。その両義性こそが、スーツの魅力であり、また難しさでもあります。 規範と逸脱のあいだで 私たちはスーツを装うとき、常に「正解」に
2025年8月12日


「スーツとは何を語る服なのか」〜ファッション論から読み解く装いの意味〜②規範から考える社会性と個性
文:脇山晃樹 今回はスーツの歴史を踏まえつつ、ファッション論的な視点から「社会とスーツの関係」、そして「規範からの逸脱」をテーマに考えていきます。やや硬めの内容にはなりますが、最後までお付き合いいただければ幸いです。 1. スーツは「規範をまとう服」 スーツの中に“自分らしさ”はどこまで許容されているのでしょうか? あるいは、スーツとは自由な服装なのでしょうか。 それとも、規制を強いる制服のようなものでしょうか。 スーツには「こう着るべき」という明確なルールが数多く存在し、「正しさ」や「ふさわしさ」の象徴でもあります。ビジネス、冠婚葬祭、公式の場──そこには形式があり、正義とされる装いがあります。 しかし、そうした厳格なルールの中にも、着る人の価値観や美意識を微細に感じとることができます。 ファッション論的に見ると、スーツとは単なるフォーマルウェアではなく、「規範」と「逸脱」、「社会」と「自己」のバランスをめぐる問いを内包した、きわめて文化的な衣服だといえます。 2. スーツは「社会の規範」を可視化する装い 18〜19世紀の英国上流階級では、金糸
2025年7月8日


「スーツとは何を語る服なのか」〜ファッション論から読み解く装いの意味〜①記号論の視点から考える
〜ファッション論から読み解く装いの意味〜①記号論の視点から考える
2025年7月1日
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