スーツにも「旬」はあるのか
更新日:10月6日
文:脇山晃樹
皆さんこんにちは。南青山のDrapper Hopeでございます。
10月に入り、ようやく秋らしい日も増えてきました。
とはいえ、昔のように「10月になったから秋物を着よう」とはいかなくなったように思います。
外はまだ暑い日があり、電車やオフィスに入れば空調が効いている。 服を選ぶ基準も、「何月だから」ではなく「今日は何度だから」に変わりつつあります。
実際、日本では1982年から2023年までの42年間で、夏に相当する期間が約3週間長くなったという研究があるようです。 2025年10月の日本の平均気温も平年を1.35℃上回り、統計開始以降2番目の高さとなりました。
「秋物を着られる時期が短くなった」という感覚も、気のせいではなさそうです。
季節から自由になった服
こうした気候の変化だけでなく、私たちの生活環境も変わりました。
真冬でも電車やオフィスは暖かく、夏はどこへ行っても冷房が効いています。
ファッションの世界でも、少し前から「シーズンレス」という言葉が使われるようになりました。
春夏、秋冬とはっきり分けるのではなく、一年を通して着られる服。
スーツ生地でも、重すぎず薄すぎないウールは非常に使いやすく、実際にDrapper Hopeでも出番の多い生地です。
合理的ですし、現代の生活にも合っています。
一方で最近のファッションを見ていると、少し面白い動きがあると感じています。
2026年秋冬ではシアー素材やセカンドスキン的なアイテムが増える中で、クラシックなテーラリングとともに、ツイード、スエード、フランネル、コーデュロイ、ベルベットなど、ひと目で秋冬を感じる素材が打ち出されているように感じます。
2026AWヴィヴィアーノ 2026AWステラ・マッカートニー 2026AWブリオーニ 2026AWグラフペーパー 2026AWジョルジオ・アルマーニ
シーズンレスになったはずの服に、再び季節感が戻ってきている。
もちろん昔と同じではありません。
重い素材を軽く仕立てたり、秋冬らしい色を軽い素材に乗せたり。季節感を残しながら、現代の気候や生活に合わせた提案がなされています。
服にも「旬」がある
フランネルの柔らかな毛羽。ツイードのざらっとした表情。コーデュロイの畝。
ブラウンやオリーブの少しくすんだ色。
これらは一年中着ようと思えば着られるものではありません。
だからこそ、面白い。
夏になればリネンやシアサッカーが着たくなり、涼しくなればフランネルやツイードに目が向く。
食べ物ほど明確ではありませんが、服にも「旬」のようなものがあるのかもしれません。
そしてそれは、必ずしも気温だけの話ではありません。
暖かいからフランネルを着る。だけではなく、秋冬だから、フランネルを着たくなる。
機能から考えれば似ていますが、服としては少し意味が違います。

一年中着られなくてもいい
一年中着られる服は便利です。
着用期間が長く、たくさんの服を持つ必要もない。これからも、そうした服は増えていくと思います。
ただ、すべての服が一年中着られる必要はないとも思っています。
一年のうち数か月しか着られないフランネル。
寒くなったらクローゼットから出してくるツイードのジャケット。
春になれば、またしまう。
効率だけを考えれば、少し不便です。
でも一年ぶりに袖を通したとき、「今年もこれを着る季節になったな」と思えるのも、服を持つ楽しさのひとつです。
気候が変わり、冷暖房が整い、服は以前より季節から自由になりました。
だからこそ、ときには季節を感じるために服を選ぶ。
Drapper Hopeにも、今季のフランネルやツイードをはじめ、秋冬らしい表情を持った生地が揃い始めています。
ジャケットはもちろんのこと、コート生地としてもお使いいただけます。
こうした生地は、写真で見るよりも実際に触れてみると、それぞれの違いがよく分かります。
一年を通して着られる一着を探すのも、秋冬だからこそ着られる一着を探すのも、それぞれに良さがあります。
お近くにいらした際には、ぜひ気軽に生地を見にいらしてください。
短くなった秋を、今年は服から楽しんでみるのもいいかもしれません。






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