なぜ、日本でスーツを仕立てるのか
- 6 日前
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世界には、優れたテーラーが数多くあります。
長い歴史を持つイギリスのテーラリング。
柔らかさや色気を感じさせる、イタリアの服作り。
日本で作られているスーツも、そうした海外の文化や技術から多くを学び、発展してきました。
テーラリングは、日本で生まれた文化ではありません。
だからこそ私たちは、その歴史に敬意を払いながら、今の日本で、どのような一着を作るべきかを考え続けています。
Drapper Hopeでは、「日本製だから価値がある」とは考えていません。
どこで作られたかだけではなく、誰のために、どのように作られたか。
そして、完成したあとにどれだけ長く着てもらえるか。
私たちは、そこに服の価値があると考えています。
すでに良いスーツを何着も持っているお客様も、数多く来店されます。
その方々が求めているのは、単に新しいスーツを増やすことではありません。
仕事や暮らしに自然に馴染み、着るほどに自分のものになっていく一着です。
私たちは、採寸を始める前に、お客様と話をします。
どのような仕事をしているのか。
どんな場面で着るのか。
普段はどのような服を選ぶのか。
スーツを着たときに、どのように見られたいのか。
体型を測るだけでは、その人に合う服を作ることはできません。
人によって、心地良いと感じるゆとりも、好みの見え方も違います。
同じ寸法であっても、その人の暮らし方によって、必要な一着は変わります。
だからこそ、私たちは採寸と同じくらい、会話を大切にしています。

スーツ作りは、完成した瞬間だけをきれいに見せるためのものではありません。
数年後も無理なく着ることができ、必要であれば修理や調整をしながら、長く付き合っていけること。それが、私たちの考える良い服です。
たくさんの服を短い期間で消費するのではなく、必要なものを選び、時間をかけて自分のものにしていく。
それは、今の時代だからこそ、改めて大切にしたい服との向き合い方でもあります。
日本のものづくりというと、細かな技術や正確さが語られることが多くあります。
もちろん、それらも大切です。
しかし私たちは、技術だけではなく、完成するまで丁寧に向き合う姿勢も、日本の服作りが持つ良さの一つだと考えています。
Drapper Hopeが目指しているのは、目立つためだけのスーツではありません。
その人らしさを失わず、仕事や日常の中で自然に着られる一着です。
着る人を別人に見せるのではなく、その人が本来持っている魅力を、少しだけ引き立てる。
そのような服を作りたいと考えています。
仕立てた直後だけでなく、五年後、十年後にも袖を通していただけること。
そして、その一着を作った時間まで含めて、良い記憶として残っていくこと。
それが、私たちが日本でスーツを仕立て続ける理由です。


