藍と織機、福山市で織るデニムのこと
- 4 時間前
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文:脇山晃樹

今回は私たちがオーダーデニム作成でお勧めしているデニム生地について、少し掘り下げてお話をしていこうと思います。
デニムの産地といえば、まず「岡山(児島)」の名前が思い浮かぶ人が多いかもしれません。
もちろん岡山は世界的なジーンズの街ですが、実はその手前にある生地の生産や染色を根幹から支えてきたのが、隣接する広島県福山市(備後地域)です。
岡山のジーンズ文化も、こうした福山市のテキスタイル技術なしには語れません。
今回、私たちのオーダーデニムで軸に据えているのは、その福山市を拠点とする、綿厚地織物に向き合い続けているテキスタイルメーカーの生地です。
なぜ福山市でデニムが盛んなのか
福山市を中心とする備後地域が、日本有数のデニム産地として知られているのには、代々受け継がれてきた明確な歴史的背景があります。
そのルーツは江戸時代にさかのぼります。
温暖で雨が少なく、かつ干拓によって塩分を含んだこの地域の土壌は、綿花の栽培に非常に適していました。そこで収穫された綿花と藍染めの技術が結びつき、明治期にかけて「備後絣(びんごがすり)」という日本三大絣の一つへと発展していきました。
重要だったのは、この備後絣の生産が「分業体制」で成り立っていた点です。(前回ブログでご紹介した尾州地域と同様ですね)
糸を藍で染める職人、デザイン通りの複雑な柄を調整しながら織り上げる機屋(はたや)、そして仕上げを担う業者。それぞれが独立しながらも、同じエリアに濃密に集積し、一つの大きなものづくりエコシステムを形成していました。
戦後、日本にアメリカからジーンズ文化が入ってきたとき、この備後地域が持っていたポテンシャルはそのまま新しいものづくりへとスライドしました。
「厚手の生地を正確に織る技術」「糸の芯まで均一に染め上げるロープ染色の技術」、そして何よりそれを支える職人たちのネットワーク。
岡山の児島が「ジーンズの縫製や加工・仕上げの街」として世に出ていく裏側で、そのすべての根幹となる「タフで表情豊かな生地を織る技術」を脈々と守り、アップデートし続けてきたのが、この福山の地なのです。

産地背景とロープ染色が生み出すもの
福山の地で受け継がれてきた技術の中で、特に欠かせないのがインディゴ染色の主流である「ロープ染色」です。 糸を束ねてロープ状にし、インディゴ染めと空化酸化(空気に触れさせて発色させる工程)を何度も繰り返すことで、糸の芯(中白)を残したまま深く染め上げることができます。
この芯白性が残るからこそ、穿き込んでいく中で摩擦による色落ち(アタリ)が生まれ、その人だけの経年変化が描かれるようになります。
また、旧式の力織機(シャトル織機)で低速かつ高密度に織り上げられた生地は、現代の高速織機では出せない絶妙な「ぬめり感」や、表面の毛羽立ち、そして耳(セルビッチ)の表情を持っています。
ウェイト(オンス)のバランスや、ヨコ糸の打ち込み本数の設計が緻密なため、デニム特有の無骨さを持ちながらも、スラックスを元にしたパターン(型紙)に乗せたときに崩れない「美しいドレープと立体感」をキープしてくれます。
テーラーの技術と生地の掛け合わせ
カジュアルなアイテムとしての側面が強いデニムですが、こうした産地の歴史や設計のしっかりした生地を選び、さらにメイド・トゥ・メジャーで身体に沿わせることで、ジャケットやドレスシャツとも自然に馴染むドレス顔のデニムパンツに仕上がります。
「生地の福山」と呼ばれる産地で、脈々と受け継がれてきた技術のもとに織られた上質な素材を、どう仕立てるか。 店頭には生地サンプルもご用意していますので、その組織感や手触りも含めて、ぜひ実際に確かめてみてください。





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