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シャツをオーダーされる方で、ダブル・カフスで仕立てるお客様がいらっしゃいます。
確かにダブル・カフスは、袖口をカフ・リンクスで固定する為、オーダーっぽさや、かっちりとした、デキる漢を演出してくれますよね…
皆さんは、何故カフ・リンクスが出来たか知っていますか?
リール動画でも説明していますが、もう少し深く入り込んで話していこうと思います。
現在ビジネスシーンやフォーマルな場面で主流となっているカフ・リンクスは1930年以降に一般化された物がほとんどです。

カフ・リンクスが出来たのは、17世紀のフランスからと言われています。
元々は、紐やリボンなどで止めていましたが、当時の王族や上流階級の方々が自分の地位や力、富などを見せる為、宝石や貴金属をチェーンで繋いだ物が使われた事が始まりです。
当時は、袖まわりだけでなくボタンの部分にも宝石や貴金属をつけていたそうです。

その頃の男性は、女性よりも華美なものを好んでいたそうです。
両面には同じデザインが施され、チェーンタイプのカフ・リンクスがクラシックなスタイルと言えます。
カフ・リンクスを仕様するカフスには、「シングル・カフス」と「ダブル・カフス」の2種類があります。
(左)シングル・カフス (右)ダブル・カフス
正式には「シングル・カフス」を「バレル・カフ」と呼び、「ダブル・カフス」は「フレンチ・カフ」と呼びます。
樽型の袖口(バレル・カフ)に対して、フランス式の袖口(フレンチ・カフ)という訳です。
「ダブル・カフス」がフォーマルだと思っている方も多くいらっしゃるかと思いますが、実は「シングル・カフス」の方がよりドレッシーなシャツになるそうです。
今はシングル・カフスでカフ・リンクスを使用している方をほとんど見ませんよね。
昔は、シャツの襟と袖が取り外しのできる「デタッチャブル式」が基本でした。
※一度は見たこある映画、「タイタニック」の衣装は当時の再現で、「デタッチャブル式」の物が使われています。
その当時の襟とカフスは、かなり硬いものが使われていて、折り曲げる事すら難しかったそうです。
時代の流れから、硬いものからソフトで柔らかい物へと変わっていき、シングルでは心細さを感じる程だったそうです。
そこで、カフスを2重に折り曲げる事で、適度な硬さと、重厚感を残したダブルカフスが始まったとされています。
今のダブル・カフスは、およそ1850年以降から一般的に使われ始めたそうです。

つまり、ダブル・カフスは略式デザインのため、皮肉めいた「フレンチ・カフス」という呼び名をイギリス人が付けたと言われています。
当時、お洒落な人が多かったフランスは、独自性のあるファッションをしていた事から、妬みや、嫉妬からそう言われたのではないかと私なりに考えています。
隣国同士、仲が悪かったようですね...
その当時の歴史や、時代背景がファッションを通してみれるのも面白いですね!
見た目な印象は、ダブル・カフスは重厚感が生まれ、風格がでます。
重役や、上の立場の方が付けると説得力が増す印象になります。
新人の方などが付けていると、生意気だなと思われる可能性はあります。
元々は、パーティーや社交場で使われていた物なので、ビジネスシーンと言うよりもフォーマルな場面で使用する事をお勧めしています。
また、ダブル・カフスに種類があり、Drapper Hopeではスクウェアとラウンドの2つがあります。
(左)スクエアタイプ (右)ラウンドタイプ
かっちり見せたい方は角が丸みのない、スクエアがお勧めです。
デザイン性や可愛らしく見せたい方は、ラウンドタイプがお勧めです。
他にも、当時の首周りにはフリルなどが飾りとして付けられており、それが今のネクタイの原型にもなっています。

こういった、時代背景があり、今の私達が日頃使っている仕様に変化していっています。
今では、良くも悪くもカジュアル化が進み、フォーマルやビジネスシーンなどの壁が無くなってきていると思っています。
先日、イタリアで開催されていたピッティ・ウォモでもスニーカーや素足、ジャケパンなどカジュアルな装いの方が多くスナップされていました。
カジュアルになる事が悪い事ではありませんが、場をわきまえる事は重要だと思います。
私なりにフォーマルと言う言葉は、『謙虚な事』だと思っています。
パーティーや結婚式など色んな場面があると思いますが、相手の事やどんな方が来るのか、決して目立つ事はせずに、相手を立てられる服装が良いと思います。
フォーマルな場面こそ、謙虚な服装である事。それがカッコイイ漢だと私は思います。
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