皆さんこんにちは、南青山のオーダースーツ店 Drapper Hopeのブログをいつもご覧いただき、ありがとうございます。
サスペンダー(ブレイシーズ)と聞くとタキシードやフォーマルな場面を思い浮かべる方がほとんどだと思います。
実際に私のお客様も
「タキシードを着る時に付けるイメージ」
「普段で付けるのはお洒落な人」
と言われた事があります。
確かに実際に付けるとなると…小っ恥ずかしいですよね。
現在の使われ方はアイコン的要素が強く、そのキャラクターを印象付ける一つのアイテム、小道具として使われている気がします。
元々のサスペンダー(ブレイシーズ)とはどのように使われていたか、すごく気になりませんか?
そこで、2回に渡りリール動画で上げたサスペンダー(ブレイシーズ)について書こうと思います。
元々サスペンダー(ブレイシーズ)とはどのように使われていたのか、歴史的背景と私個人の意見も交えなが話していこうと思います。
サスペンダー(ブレイシーズ)とは、18世紀のフランス革命の頃に登場したと言われています。
当時は、男性の胸あたりまでパンツのウエストがあった為、ベルトを締めるという概念がなく、サスペンダーで吊るした方が着脱する事も考えると楽だったからと考えられます。
18世紀の労働者の多くはサスペンダー(ブレイシーズ)でパンツを吊るして働いていた為、パンツには吊すためのボタン止めが必ず付いていたそうです。
1900年代に入るとパンツの作りが大きく変わっていきます。
18世紀にはサスペンダー(ブレイシーズ)で吊す為のボタンが付いていましたが、労働者のジーンズやパンツには吊す用のボタン止めとベルトで締める事の出来るループが付き始めます。
1930年代に入るとサスペンダー(ブレイシーズ)に変わってベルトを通して着用する事が増え、パンツも徐々にベルトループが付いた物へと変わっていきます。
1940年代では、サスペンダー(ブレイシーズ)の需要はフォーマルウェアのみ着用されていたと考えられます。
1960年代に入ってからはサスペンダー(ブレイシーズ)にクリップ式の物が出てきます。
ベルト通しのみ付いているパンツでもサスペンダー(ブレイシーズ)の使用が可能になり、映画のワンシーンや一般的なスーツのジャケットを脱いでサスペンダー(ブレイシーズ)の姿を見せる人も多かったそうです。
ネクタイと同じような色柄や、お洒落のアイテムとして使われる事が多くなり、現在のようにフォーマル場面でもカジュアルな場面でも着用が可能になり、再び幅広く多くの方に着用される事になったそうです。
ズボン吊りと訳されるサスペンダー(ブレイシーズ)はクラシカルでお洒落なイメージ、使うシーンによってはとてもコミカルなイメージも醸し出す小道具になります。
圧倒的にベルトを着用される方が多いと思いますが、サスペンダー(ブレイシーズ)はパンツのライン(シルエット)を綺麗に見せる点とウエストの位置を一定に保ち、パンツの裾のたるみを無くすなど、実用性にも優れているんです。
例えば、体の線が細い方やパンツを穿いていてずり落ちてしまう方はサスペンダー(ブレイシーズ)で吊るして穿いてみるとスラックスのクリースは真っ直ぐ落ちてとても綺麗にご着用して頂けると思います。
写真はDrapper Hope TAILORINGスタッフの 水落 敬(ミズオチ ケイ)
私物のALBERT THURSTON(アルバートサーストン)の着用写真になります。
ベルトループは付けずにサスペンダーで吊るす事で、ウエスト周りがスッキリと見えます。
ライトグレイ調のスラックスに白シャツ、濃いネイビータイで全体を引き締めながらサスペンダー(ブレイシーズ)を着用する事で、シンプルな装いに花を添え、小慣れた雰囲気に...
時計の色であるゴールドとサスペンダー(ブレイシーズ)のブラウンと金具の色を合わせることで統一感も出ていますね。
また、サスペンダー(ブレイシーズ)を付けるのが難しい方はサイド尾錠と言われるパンツウエストを両サイドで絞れるベルトレス(ループなし)もお勧めです。
写真のパンツもサイド尾錠の仕様となっています。
私は体の線が極端に細い為、ベルトでウエストを絞ると生地が変に歪んでしまったり、シワが入ってしまう可能性があるのでループを付けずにサイド尾錠でウエストを調整しています。
ベルトやサスペンダー(ブレイシーズ)で吊るさなくても、ウエストを絞れる仕様があります。
写真のように、ウエスト廻りがスッキリと見えかっこいいです。
Drapper Hope TAILORING お勧めの形となっています。
背景を見ていくと、決してフォーマルだけではなく普段使いでも幅広くご着用いただけるアイテムへと変わっています。
ですが、「昔は〜」「今は〜」とかではないと考えています。
勿論、その物の出来た背景や慣わしを知ることはとても大事です。
それを知った上で自身のスタイルや、何が自分にとって着やすいかを色々着て、見つけていく事が漢のロマンなのかなと思っています。
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