皆さんこんにちは、南青山のオーダースーツ店 Drapper Hopeのブログをいつもご覧いただき、ありがとうございます。
私はこれまで数多くの仮縫いを対応させていただきました。
私がこれまで対応させていただいたお客様は
「サイズにもっとこだわりたい」
「生地が繊細だから仮縫いをはさみたい」
「違うお店で作ったが本当に体に合ってるか分からない」
など、色んな悩みを持ったお客様が仮縫いをしに来店してくださいます。
先日も、グアナコと言う大変希少な生地で仮縫いをさせていただきました。
以下のリール動画が、その時にウールカシミヤの生地で仮縫いをしたジャケットです。
Drapper Hope TAILORINGはフルビスポークではない為、店舗のサンプル(ゲージ)を着てもらいながら最初の寸法を測っていきます。
ですが、この最初の寸法、サイズ調整が確実に出来ていないと、的確な欠陥が把握できない為、その後に行う補正内容も的確に進める事が出来ません。
今回は仮縫い、着合わせの注意点を私が学んだ事を踏まえて話していきたいと思います。
まず、ジャケットの仮縫い、着合わせの場合に注意する点は、首廻りを基準として、服全体が素直に下がっているかを確認していきます。
この時に、袖付けの内側や、肩まわりで縫い代などがつかえていないか気を付けながら確認します。一度着合わせが完了したら、次に各部分を観察して、欠陥を直していきます。
まず、ボタン位置(高さ)を調べてピンで止めていきます。
基本的に3つボタンの場合、Vゾーンの開きは33〜35cm程と言われています。
2つボタンや段返りの場合、Vゾーンの開きは約+10cmの43〜45cm程と言われています。
着用者の体型や着丈などのバランスにもよってボタン位置(高さ)は変わるので注意してお客様の要望も聞きながら決めていくのが良いかと思います。

ボタン位置が決まったら、次に肩廻りを見ていきます。
着合わせのスーツの肩先と着用者の肩先が合っているか確認します。
もし、ひどい欠陥が見当たらない場合は、後身に出てくるようなタスキじわやツキじわなどが見られたらピン打ちをしてつまんだ状態にします。
次にジャケットの前丈と背丈のバランスを見ていきます。
前丈が不足していると前身頃が上に吊り上がってしまい、背部ではお尻につかえて、ウエストから上が袋状にあまる現象がおこります。
この場合の前丈と背丈のバランスを簡単に確認する方法は、袖をそっと上にあげ、脇下が完全に水平を保っていれば、前後のバランスが保てている事になります。
写真の着用者はそこまで気になる欠陥は見当たりません。
次に、袖の運動量(可動域)を、袖を動かしてもらいながら見ていきます。
この時に、袖が短すぎたり、前脇あたりでひどくねじれてしまっている場合は、袖刳り(アームホール、身頃で、袖をつける部分)か袖自体のどちらかに欠陥があると考えられます。
例えば、ジャケットの鎌深寸法が必要以上に深すぎてしまうのも原因の一つです。
また、ここでは着用者の手先の位置と袖先の位置がマッチしているかを確認しましょう。
マッチしていない場合は、袖の腕あたりにナナメのシワが入ります。
その場合には、以前のリールと前回のブログで記載しているように袖後ろの合印をつまみ袖の付け方を変えていきましょう。
この工程が済みましたら、袖の長さを決めていきます。
これはお客様の好みもあるのでしっかりヒアリングをして調整をしていくと良いと思います。
ここまでがジャケットの各部分の仮縫い、着合わせの重要ポイントになります。
あとはデザインの問題ですが、どんな形が良いかは一概には言えません。
これはその時の流行やお客様の雰囲気、体型などを考慮して仕立てるのが良いです。
次回はパンツの仮縫い、着合わせのポイントについてお話します。
余談ですが、私もお世話になっているイギリスで修行をされたフルビスポークのテーラーでは、仮縫いを2回挟む程、サイズ感と補正、デザインに時間をかけています。
もちろん人にもよりますが、一回の仮縫いで済む方もいるそうです。
我々はそのような、日本でも最高峰のスーツを仕立て、ご活躍をされている方々にご教示いただきながら、日々自分たちの採寸に落とし込み、採寸に力を注いでいます。
ご存知の通り、Drapper Hope TAILORINGはフルビスポークではない為、店舗には着用サンプル(ゲージ)を着用して頂きながらサイズ感や補正内容、デザインを確認して仕立てます。
リール動画でも説明させていただいていますが、Drapper Hope TAILORINGでも仮縫の注文は可能です。
以前私が勤めていた店舗はフルビスポークも注文する事ができた為、補正の入れかたや仮縫いのやり方を教えていただきました。
Drapper Hope TAILORINGでは通常価格より+¥50,000で仮縫い付きのお仕立てをさせていただいています。
是非、サイズ感や細部にこだわりたい方は、仮縫いがよりフィットするスーツを仕立てる重要なポイントとなりますので試してみてください。
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